2016年10月13日木曜日

板橋区の歩みについて教育しても意味をなさない?(2018年4月記)

2018年4月に某公共放送の地域ニュース番組「首都圏ネットワーク」で、「ニュースで満点!」という企画コーナーが放送されました。首都圏のニュースに関連するクイズを出題してキャスター2名が回答し、その答えが正しいかどうかVTRで丁寧に解説するという趣向です。

この日の出題は

「品川、目黒、板橋、千住のうち”江戸四宿”に含まれない町はどれでしょう?」

以前常盤台四丁目の教育科学館にも取材に来た経験のあるキャスターは早速間違えていました。もっともこのキャスターは普段から”ボケ役”で、気象予報士が笑顔で入れる鋭いツッコミにオタオタする姿が番組名物のひとつになっていますから、できなくても無理はありません。松本隆さんの小学校の後輩、すなわち青山生まれだそうで、土地勘もお持ちではありません。


それよりもはるかに気がかりだったのは、解説VTRでレポーターが板橋駅前で

「板橋は昔宿場町だったことを知っていますか?」

とたずねたところ、年代関係なく15人ほどが誰も知らなかったというお話。

正直なところ、大変驚愕しました。かなりショックでした。


たずねた人の中には外国の方もいたようですし、日本人でも他の地域から移住してきた人たちは小中学生の学齢期に板橋区内で教育を受けた経験を有していませんから、やはり知らなくて当然でしょう。若い学生さんも区外の私立中学・高校などに通っていれば学ぶ機会はありません。

しかし年輩者も含む15人にインタビューして、板橋区内の小中学校で教育を受けた経験を持つ人に全く当たらない可能性は相当低いと考えざるを得ません。その人たちが「知らない」と答えるという現実は、

板橋区内の初等・中等教育で、区の歴史について学ぶ時間を割いても、生徒には自分にとって必要な知識という判断には至らない。

ということを意味しているのではありませんか。
要するに、学校で板橋区の歴史について授業をしても、ほとんどの子供は退屈な時間の過ごし方を強いられるだけで、卒業したら真っ先に切り捨てられるのだから意味をなさないということです。


板橋区の歴史や地形探索など、一部のマニアにしかアピールしないものなのでしょうか。
国分寺崖線がもてはやされても、それよりもはるかに古く形成された志村赤塚崖線は格好悪いのでしょうか。

今も盛り場の新宿や、松尾芭蕉出立の地という強力なネームバリューを得ている千住、東海道の品川に比べて価値が低いのでしょうか。


板橋区は、つくづくアピール下手、プア・プレゼンテーションと思わざるを得ません。
その調子だから、練馬区の”独立”(正確には「分離」)70周年で

「港区にはとてもかなわないが、板橋区には勝てそうな気がする!」

というコマーシャルアニメを作られるはめになるのです。


2019年には「翔んで埼玉」という映画がヒットしました。
原作は湘南をはじめ、海沿いのドライブがもてはやされていた1980年代に発表されたコミックだそうです。

しかしこの映画がヒットしたおかげで、埼玉県を好意的に見る人が増えてきました。

今や実質的に「翔んで板橋」です。

 

注目が低いからこそ静謐な環境が保てるという考え方もできますが、現状はあまりにも荒涼としています。とほほほ。