(荻原二郎・編、生活情報センター、2006年)
昭和戦前から膨大な数の、優れた鉄道写真を撮影されてきた荻原二郎さんの写真を中心に構成した大型写真集です。(一部、他の方が撮影した写真も含まれます。)
荻原さんは1915年(大正4年)千葉県生まれ。10歳の時に東京に移り、小田原急行電鉄の工事の様子を間近で見たことから鉄道に関心を抱き、16歳の時にカメラを手にして、鉄道写真の撮影を始められたという経歴をお持ちです。従って戦前の写真も少なくありません。東急電鉄に入社して、お仕事のかたわら写真を撮り続けました。
退職後は鉄道写真に専念、90歳を越えても元気にご活躍されていたそうですが、2012年春に96歳で亡くなられました。まさに鉄道のために生きた方です。
荻原さんは1915年(大正4年)千葉県生まれ。10歳の時に東京に移り、小田原急行電鉄の工事の様子を間近で見たことから鉄道に関心を抱き、16歳の時にカメラを手にして、鉄道写真の撮影を始められたという経歴をお持ちです。従って戦前の写真も少なくありません。東急電鉄に入社して、お仕事のかたわら写真を撮り続けました。
退職後は鉄道写真に専念、90歳を越えても元気にご活躍されていたそうですが、2012年春に96歳で亡くなられました。まさに鉄道のために生きた方です。
荻原さんは都電についても、かなり早い時期からカメラを向けていました。カラーフィルムも開発初期から使用されていました。戦後の全系統についてたくさんの写真を残していて、他の誰にもなしえない、貴重な記録となっています。
本書はその集大成ともいえます。最初にカラー写真を配して、モノクロはまずおおまかな地域別に分けて章立てして、その中で系統別に節を置き写真を紹介する構成です。銀座、渋谷など写真数の多い有名どころは独立させていますが、地域別の章の合間に挿入する形式を取っています。
複数の地域ブロックにまたがり運転される系統の一部(1、11、12、16)はPart1、,Part2に分けて掲載。完全停留場順ではありませんが、現在までに出版された都電書籍の中では、最も理想的なスタイルでしょう。
写真の価値および技能については、改めて申し上げるまでもありません。東京都の文化財に指定してもよいほどです。
都電の全盛期はカラーフィルムがまだ珍しかったため、どの本でもカラーは別枠扱いされて、一番前かもしくは真ん中の開きやすいページにまとめて配置されています。この本でも踏襲されています。しかしその構成では、停留場順に追っていく場合、最初のほうのページに掲載されているカラー写真を案外見落とすことがあります。そろそろカラー、モノクロ問わず停留場順に配置する本が出てもよい頃でしょう。
各章には荻原さんが簡単なコメントを記していますが、都電に限らずトロリーバス、地下鉄にも温かなまなざしを向けていて、心から公共交通機関がお好きで、また案じていたことが伺えます。いろいろあったこととは存じますが、幸せな人生だったのではないかと思われます。
荻原さんは撮影に際して、日時・場所などのデータも詳細に記録なされて、鉄道事業者・路線別に丁寧に整理していたと伝えられています。ですが、本ブログでも
「× 巣鴨駅前 → ○ 巣鴨車庫前-巣鴨四丁目間」
を見抜くことができたように、完全ではない部分もあります。
トロリーバス101系統の「撮影場所不明」は、全くの勘にすぎませんが、上野桜木町の陸橋のような気もいたします。
それに…またしても「1967年8月31日」です。
東京都公報をご参照ください(泣)。
路線改廃データに関する部分は若い編集担当さんが調べたといいますが、荻原さんはこの時点で90歳を迎え、出版企画のお話を引き受けると、生涯の総仕上げを意識なされていたことでしょう。
担当者さんには、少し重く受け止めていただければ幸いです。
本文ページは上品なモスグリーンでレイアウトされていますが、文字にその色を使うならばもう少し大きくしていただいたら、さらに読みやすかったでしょう。